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「パートなのに仕事が多すぎる」と感じたら?原因と解決策、知っておくべき労働条件

「パートだから」と始めたはずが、気づけば正社員並みの仕事量と責任に追われている…。そんな理不尽な状況に、一人で悩んでいませんか?

この記事では、仕事が過剰になる根本原因から、上司との具体的な交渉術、そしていざという時に自分を守るための法的な知識まで、あなたが納得できる働き方を取り戻すための実践的な方法を網羅的に解説します。

もう「パートだから」と我慢する必要はありません。正当な権利を知り、心身の負担を減らすための第一歩を、ここから踏み出しましょう。

1.パートなのに仕事が多すぎる現状と主な原因

1.1.正社員と同じ仕事を任される実態と背景

パートタイマーにもかかわらず正社員と同等の業務を担当している人は少なくありません。厚生労働省の「雇用動向調査」では、非正規雇用労働者の約四割が「担当業務が正社員とあまり変わらない」と回答しています(mhlw.go.jp)。企業側は慢性的な人手不足を補うため、勤務時間が短いパートにも正社員レベルの仕事を割り振りがちです。

その背景には、主に以下の3点が挙げられます。

・少子高齢化による労働人口の減少
・チャットツールでの複数案件の同時進行やオンラインでの顧客対応など、DX推進に伴う業務フローの変化によるマルチタスク化
・コスト削減を目的とした正社員採用の抑制

1.2.パートの仕事量や責任が増える具体的な原因

人手不足の深刻化により、パートでも即戦力としてフル稼働するケースが増えています。とくに人手不足が顕著な小売業、飲食サービス業、介護・医療分野などでは、パート比率が五割を超える事業所も多く、業務範囲の線引きが曖昧なまま業務が拡大しやすい傾向があります。

さらに、以下のような要因も仕事量の増加を招いています。

・勤務契約書に業務範囲が詳細に記載されていない
・「扶養内で柔軟に働きたい」という希望が、企業側にとって「時間の融通が利く便利な人材」と誤解されやすい
・パートタイマーが責任範囲について明確に主張しづらい、あるいは意見を聞き入れない職場文化

1.3.仕事量過多がパート勤務者に与える影響

過度な仕事量はパート勤務者の心身に大きな負担を与えます。厚生労働省の2024年「労働安全衛生調査」によると、現在の仕事や職業生活に関することで強いストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は68.3%に達しており、多くの労働者がストレスを抱えている実態が明らかになっています。ストレス過多はバーンアウト(燃え尽き症候群)や離職リスクを高めるため、我慢せずに早めの対策を講じることが重要です。

2.仕事量・責任問題を解決するための具体的な対処法

2.1.まずは上司に相談し、業務内容の調整を依頼する

状況を改善する第一歩は、事実ベースで「契約上のやるべき業務」と「実際に行っている業務」を書き出し、上司に共有することです。

以下の3点を押さえることで、上司も客観的に状況を判断しやすくなります。

業務内容と所要時間を一週間記録する
スマートフォンのタイムトラッキングアプリや、簡単な業務日誌をつけるだけでも客観的なデータになります。

業務フローのどこで負荷が集中するか可視化する
特定の時間帯や曜日に業務が偏っていないか分析します。

相談の場では感情よりデータを優先する
「大変だ」と訴えるだけでなく、「この業務に契約時間の〇割を費やしており、他の業務に支障が出ています」と具体的に伝えます。

2.2.業務範囲や労働条件の見直しを交渉する際のポイント

交渉を有利に進めるには、雇用契約書と就業規則を再確認し、「担当業務」「勤務時間」「責任範囲」が明文化されているか確認しましょう。記載が曖昧であったり、実態と異なっていたりする場合は修正を求め、必要に応じて労働条件通知書の再発行を依頼します。

交渉時には、以下の点を提示すると説得力が高まります。

「契約時間を超える作業」の具体例と回数
(例:定時後のレジ締め作業が週に3回、休日に約1時間の商品陳列を依頼されるなど)

「担当業務の変更前後」の比較
契約当初にはなかった業務内容をリストアップして提示します。

2.3.状況が改善しない場合は転職や退職も視野に入れる

上司に相談しても改善が見込めない場合、心身の健康を守るために環境を変えることも重要な選択肢です。地域のハローワークやキャリア相談窓口で求人情報を収集したり、希望条件に合った職場探しや条件交渉に強い転職エージェントを活用したりするのも有効です。

また、退職を決めた場合は、後任者への引き継ぎ期間を考慮し、円満退職に向けたスケジュールを計画しましょう。家庭の事情などで引き継ぎが難しい場合でも、近年ではパートタイマーが退職代行サービスを利用する事例も増えており、スムーズに退職する選択肢もあります。

3.パート勤務者が知っておくべき労働条件と権利

3.1.「同一労働同一賃金」の原則とパートへの適用

同一企業内で、正社員とパートタイマーなど非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差を禁じる「同一労働同一賃金」の原則は、2021年4月から中小企業にも全面適用されました。これは単に時給だけの問題ではなく、各種手当(通勤手当、皆勤手当など)や賞与、福利厚生、教育訓練の機会といったあらゆる待遇が対象となります。

実際に、日本郵便やメトロコマースの事件に関する最高裁判所の判決では、正社員と非正規社員との間の各種手当や休暇制度における不合理な待遇差が違法と判断されており、パートタイマーの権利保護が司法の場でも進んでいます。

3.2.残業や休日出勤に関するルールと断り方

パートタイマーであっても、労働基準法が適用されます。企業が従業員に残業(時間外労働)を命じるには、事前に労働者の過半数で組織する労働組合などと「時間外労働・休日労働に関する協定(通称:36協定)」を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。この協定が無い場合や、協定で定められた上限時間を超える残業要請は、正当な理由なく拒否することができます。

3.3.有給休暇の取得条件と活用方法

有給休暇は、週の所定労働日数が1日以上で、6か月以上継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤したパートタイマーにも付与されます。付与される日数は週の勤務日数に応じて決まります(比例付与)。いつ有給休暇を取得するかは労働者が自由に決める権利があり、会社側は事業の正常な運営を妨げる場合を除き、取得を拒否することはできません。

3.4.労働基準監督署など外部機関への相談

賃金不払いや違法な長時間労働など、労働基準法違反の疑いがある場合は、最寄りの労働基準監督署へ相談できます。

また、厚生労働省が委託運営する電話相談窓口「労働条件相談ほっとライン」は、匿名で専門の相談員に相談が可能で、平日の夜間や土日も対応しているため、日中忙しい方でも利用しやすい窓口です。公的な機関だけでなく、業務改善や働き方の見直しをサポートする民間の専門サービスに相談するのも一つの方法です。

例えば、株式会社ワカルクでは、サービスに関する問い合わせや相談をフォームから受け付けており、現状の課題について専門家の視点からアドバイスを求めることができます。

4.よくある質問Q&A

4.1.パートでも残業を断ることはできますか?

はい、可能です。
会社が労働者と36協定を締結し、労働基準監督署に届け出ていなければ、原則として残業を命じることはできません。協定がある場合でも、協定で定められた上限時間を超える残業要請には応じる義務はありません。

4.2.契約時間以上の仕事を頼まれたら、どう断ればいいですか?

感情的になるのを避け、事実に基づいて冷静に伝えることが大切です。

例えば、「申し訳ありませんが、本日の契約時間は〇時までとなっております。この作業は明日に回すことは可能でしょうか?」のように、契約内容を根拠に伝えます。事前に記録した業務記録など客観的なデータを示すと、よりスムーズに交渉しやすくなります。

4.3.残業代は請求できますか?遡って請求することもできますか?

はい、1分単位で請求できます。

未払い残業代の請求権の時効は、2020年4月1日以降に支払われる賃金から3年(それ以前は2年)です。請求にあたっては、タイムカードのコピーや業務日報、PCのログイン・ログオフ記録など、労働時間を証明できる証拠を確保しておくことが重要です。社内での解決が難しい場合は、労働基準監督署に申告する手段もあります。

4.4.労働基準監督署に相談したら不利益を受けませんか?

労働基準法第104条では、労働者が労働基準監督署に申告したことを理由として、企業がその労働者を解雇したり、その他の不利益な取り扱い(減給、降格など)をしたりすることを明確に禁止しています。

万が一、申告後に不利益な扱いを受けた場合は、その行為自体が違法となるため、行政指導や民事訴訟などで救済を求めることが可能です。

5.まとめ パートの働き方を見直し、自分らしく働くために

パートタイマーであっても、「同一労働同一賃金」の原則や労働時間管理のルールなど、法律によって守られています。「仕事が多すぎる」と感じたら、一人で抱え込まずに行動を起こすことが大切です。

まずはこの記事で紹介したように、以下の3段階で対応を進めてみましょう。

事実を整理し上司へ相談する
契約内容の見直しを交渉する
外部の専門機関へ相談する

これらのステップを通じて、不満や負担を解消し、あなたが本当に望む自分らしい働き方を取り戻しましょう。