フルタイムパートとは?メリット・デメリットから働き損対策まで徹底解説


「正社員並みにしっかり働きたいけれど、家庭の事情でフルタイムの責任は負いきれない」「パートだと収入が不安定で社会保険にも入れない」
――そんな悩みを解決する選択肢として、今「フルタイムパート」という働き方が注目されています。
これは、正社員に近い勤務時間で安定した収入と社会保険のメリットを得ながら、パートタイムの柔軟性も維持できる、いわば「いいとこ取り」の雇用形態です。しかし、その実態は少し複雑で、税金や社会保険の「壁」を意識しないと、かえって損をしてしまう可能性も。
この記事では、フルタイムパートの定義からメリット・デメリット、そして賢く働くための具体的な対策まで、専門的な視点から徹底的に解説します。あなたのライフプランに最適な働き方を見つけるための、確かな知識を手に入れましょう。
目次
1.フルタイムパートの基本を理解しよう
1.1.フルタイムパートとは?定義と特徴
「フルタイムパート」とは、一般的に「正社員とほぼ同じ所定労働時間をこなしながら、雇用区分はパートタイム」という働き方を指します。
しかし、これは少し矛盾をはらむ概念です。なぜなら、パートタイム・有期雇用労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)第2条において、パートタイム労働者は「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と定義されているからです。
そのため、正社員並みに週40時間前後働くフルタイムパートは、厳密には法律上のパート定義から外れてしまうケースもあります(ITmediaビジネスオンライン)。
実務面では次のような特徴があります。
・所定労働時間は1日7〜8時間・週40時間程度で正社員と同等
・雇用契約は有期が中心で、給与は時給制が多い
・社会保険加入は要件を満たせば義務
・就業規則上「パート」区分のままの企業も少なくない
一般的には「正社員ほど拘束されずに収入と社会保険を確保したい人材を柔軟に確保するための雇用形態」と理解すると分かりやすいでしょう。
1.2.パートタイムや正社員との違いを徹底比較
パート、フルタイムパート、正社員の主な違いを整理すると次のとおりです。
| 比較項目 | 一般パート | フルタイムパート | 正社員 |
|---|---|---|---|
| 週労働時間 | 20〜30時間前後 | 35〜40時間 | 35〜40時間 |
| 給与体系 | 時給 | 時給(日給) | 月給 |
| 社会保険 | 106万円や週20時間などの要件で加入 | 多くが加入対象 | 原則加入 |
| 賞与・昇給 | ほぼ対象外 | 会社次第で支給例あり | 対象 |
| 契約期間 | 6か月〜1年更新が主流 | 6か月〜1年更新が主流 | 期間の定めなし |
| キャリアパス | 限定的 | 正社員登用ルートがある企業も | 多彩 |
とくに社会保険の取り扱いは重要です。厚生労働省が定める基準により、「週の所定労働時間が20時間以上」「月額賃金が8.8万円以上(年収約106万円以上)」などの要件を満たすと、パートタイム労働者でも社会保険への加入が義務付けられます。
なお、このいわゆる「106万円の壁」に影響する企業規模の要件は、2024年10月からは従業員51人以上の企業に拡大されており、今後も段階的な適用拡大が予定されています(NEC)。
2.フルタイムパートで働くメリットとデメリット
2.1.フルタイムパートのメリット
1.収入が安定しやすい
週5勤務×1日7〜8時間で働けば月給換算で20万円前後を得られるケースも多く、短時間パートより手取りは大幅に増加。
2.社会保険に加入できる
厚生年金や健康保険に加入することで老後資金や医療費自己負担軽減など長期的メリットが大きい。
3.ワークライフバランスの柔軟性
月給制正社員より残業が少なく、契約更新ごとに勤務日数や時間帯を調整しやすい。
4.正社員登用の足掛かり
店舗のシフト管理を任される時間帯責任者や、部門のリーダー職などをフルタイムパートに任せ、実績を評価して正社員へ登用する事例が、特に小売業や飲食業で増加傾向にあります。
5.キャリア空白リスクの回避
子育てや介護などで一時離職後、短時間パートから段階的にフルタイムへ戻ることでキャリアをつなげやすい。
2.2.フルタイムパートのデメリット
1.税金と社会保険料が増える
年収の壁を超えると手取りが想定より減る「働き損」リスクがある点は要注意。
2.有期契約ゆえの雇用不安定
契約更新のたびに継続可否が判断されるため、長期的収入は保証されない。
3.ボーナスや退職金がない企業が多い
同じ勤務時間でも年収総額で正社員に劣るケースがある。
4.キャリア形成支援が限定的
社内研修や資格取得支援などは正社員優先となりがち。
5.労働条件が曖昧になりやすい
就業規則で「フルタイムパート」が明確に定義されていない場合、休暇体系や人事評価の基準が不透明となり、トラブルの火種となる恐れがあります(ITmediaビジネスオンライン)。

3.損をしない!フルタイムパートで働く際の注意点と対策
3.1.「働き損」とは?年収の壁と手取りへの影響
働き損とは「年収を増やしたのに手取りがほとんど増えない、むしろ減少する」状態を指します。主な壁は次のとおりです。
| 壁 | 発生要因 | 2026年現在の動き |
|---|---|---|
| 103万円 | 所得税・住民税の非課税限度 | 政府内で扶養控除の見直しが検討されています(朝日新聞) |
| 106万円 | 社会保険適用拡大基準 | 企業規模要件が段階的に緩和・撤廃される方向です(NEC) |
| 130万円 | 被扶養者判定基準 | 超過すると扶養から外れ、自身での保険料負担が発生します(テレ朝NEWS) |
| 150万円 | 配偶者特別控除の上限 | 配偶者控除と合わせて見直しが議論されています(NRI) |
これらのライン上で収入が微増すると、課税や保険料負担が一気に増え、手取りが下がる現象が起こります。
3.2.働き損を避けるための具体的なポイント
・世帯単位で年収シミュレーションを行う
配偶者の収入や控除、社会保険料を含めた世帯全体の手取り額を年単位で比較しましょう。国税庁のウェブサイトや民間の給与計算シミュレーターを活用すると便利です。
・勤務先の制度を確認する
社員区分や等級ごとに社会保険加入可否が異なる場合があるため、就業規則と給与規程を必ずチェック。
・130万円の壁対策の助成金を活用
従業員の収入増を支援する企業向けに、国は「キャリアアップ助成金」などの制度を設けています。人事に相談し、こうした制度の活用を促すのも一つの方法です(テレ朝NEWS)。
・社会保険の適用拡大スケジュールを把握する
106万円の壁に影響する企業規模要件は段階的に緩和されており、将来的には撤廃される予定です。最新の制度改正情報を確認し、長期的なキャリアプランを立てましょう。
・年末調整と確定申告を活用
医療費控除やiDeCoなどの節税策で実質手取りを底上げしましょう。
4.まとめとよくある質問
4.1.自分に合った働き方を見つけるために
フルタイムパートは「フルタイム労働の柔軟性」と「非正規の自由度」を両立できる半面、税金と社会保険の壁が複雑です。
自分に合った働き方を選ぶ手順は次のとおりです。
1.ライフプランと必要手取り額を可視化する
子供の進学、住宅ローンの返済、親の介護など、将来のライフイベントを見据えて、世帯としていつまでにいくら必要かを具体的に算出します。
2.年収の壁を考慮しながら月間・年間労働時間を逆算
3.雇用形態別に賃金・保険料・福利厚生を一覧表で比較
4.キャリアアップの必要性に応じて正社員登用や副業を検討
5.定期的に制度改正情報をアップデートし、年単位でシミュレーションを更新
これらの手順を踏んでも、自分一人で最適な働き方を見つけるのは難しいと感じるかもしれません。特に、フルタイムパートという選択肢だけでなく、より専門的なスキルを活かしたキャリアを築きたい場合は、専門家への相談も有効です。
例えば、オンラインアシスタントサービスなどを提供する企業では、柔軟な働き方に関する知見が豊富です。具体的な働き方やキャリアについて相談したい方は、株式会社ワカルクのお問い合わせフォームから気軽に質問してみるのも良いでしょう。
4.2.フルタイムパートに関するよくある質問
Q. 残業はあるのか
所定労働時間がフルタイムであるため繁忙期に残業が発生する企業もあります。残業手当の支払い方法を契約書で確認しましょう。
Q. 有給休暇は取れるのか
はい、取得できます。労働基準法第39条に基づき、6か月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には年次有給休暇が付与されます。フルタイムパートのように週5日勤務の場合は、正社員と同じ日数が付与されます。
Q. 正社員登用はあるのか
制度を設けている企業は増えています。独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査では、パートから正社員への転換制度がある事業所は増加傾向にあります。特にイオンのような大手小売業や、すかいらーくグループなどの外食産業で積極的に導入されています。自社の就業規則を確認したり、人事部に問い合わせてみましょう。