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育休中に退職を検討するあなたへ 給付金・手続き・注意点を徹底解説

「育児に専念したい」「復職後の働き方に不安がある」など、育休中にキャリアを見つめ直す方は少なくありません。しかし、いざ退職を考えると、「給付金はどうなるの?」「手続きが複雑そう…」といった疑問や不安が次々と湧き上がってくるのではないでしょうか。

この記事では、そんなあなたの悩みを解消するため、育休中の退職にまつわるお金(育児休業給付金・失業保険)、会社への伝え方、保育園の問題まで、あらゆる情報を専門家の視点から徹底的に解説します。

複雑な制度を正しく理解し、あなたとご家族にとって最善の選択をするための、確かな知識が手に入ります。後悔のない一歩を踏み出すために、ぜひ最後までお読みください。

1.育休中の退職は可能?基本と知っておくべきこと

1.1.育休中に退職はできる?法的な側面と注意点

結論から言うと、育休中の退職は法律上可能です。

育児・介護休業法には育休中の退職を禁止する規定はなく、また労働契約法第627条では、労働者は原則として退職日の14日前までに申し出ることで、いつでも労働契約を解約できると定められています。

ただし、多くの企業では就業規則で「退職の1ヶ月前まで」といった独自の予告期間を設けています。円満な退職のためにも、まずは自社の就業規則を確認することが第一歩です。

もちろん、会社との合意があれば、規定より短い期間での退職も可能です。

1.2.育休中に退職するメリットとデメリット

メリット
・復職へのプレッシャーから解放され、育児や次のキャリア準備に専念できる
・通勤費や保育料など、復職を前提とした出費を抑えられる

デメリット
・育児休業給付金が離職日をもって打ち切られる
・育休中は免除されていた社会保険料(健康保険・厚生年金)の支払いが、退職日の翌日から自己負担となる。国民健康保険・国民年金への切り替えや、会社の健康保険を任意継続する手続きが必要になり、家計への負担が増加する
・保育園の在園資格を失う可能性がある(退職後は「求職中」として扱われるが、期間内に就労証明を再提出できない場合、退園となる自治体が多い)

2.最重要!育児休業給付金への影響を徹底解説

2.1.育休中に退職した場合の給付金はどうなる?

育児休業給付金の扱いは、退職時期によって大きく変わるため注意が必要です。

2025年4月1日の法改正により、育休中に退職した場合でも、離職日までの日数分が日割りで支給されるようになりました。

これは、月途中で退職するとその月分の給付金が一切受け取れなかった従来(2025年3月31日以前)の制度からの大きな変更点です。

ただし、厚生労働省は「当初から育児休業終了後に退職を予定している場合」は給付金の支給対象外であると明記しています。あくまで、育休取得時点では復職の意思があったことが前提となります。

2.2.退職のタイミングで変わる給付金の扱い

退職タイミング受給可否主なポイント
育休開始前不可「職場復帰が前提」でないため申請自体ができません
育休中(2025年3月31日以前)支給単位期間の末日まで月の途中で退職した場合、その月分の給付金は支給されません
育休中(2025年4月1日以降)離職日まで日割計算で支給対象に変更されました
育休満了後原則継続支給なし復職しない場合は受給終了となります

2.3.給付金受給中に転職した場合の注意点

育休中に転職活動を行い、退職後すぐに新しい会社で働き始める場合、旧職場での育児休業給付金は離職日をもって終了します。

もし転職先で再び育休を取得する際は、新たな受給資格を満たす必要があります。

具体的には、育休開始前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あることなどが要件となります。

手続きをスムーズに進めるためにも、転職先の企業の担当者と密に連携を取りましょう。

3.退職後の生活設計 転職・失業保険・保育園の注意点

3.1.育休明けに退職しても失業保険はもらえる?

育休明けに退職し、子育てに専念するためすぐには働けない場合でも、失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取れる可能性があります。

ハローワークで求職の申し込みをする際に「受給期間の延長申請」を行えば、本来1年間の受給期間を最長で4年まで延長できます。

これにより、子育てが一段落して働ける状態になってから、基本手当の受給を開始できます。

なお、自己都合で退職した場合、7日間の待期期間に加え、原則2ヶ月間の給付制限期間が設けられています。

3.2.育休明けの転職・再就職を成功させるポイント

  • 在宅勤務やフレックスタイム制度など、子育てと両立しやすい条件を明示している求人を、厚生労働省が運営するマザーズハローワークや民間の転職サイトで探す
  • 履歴書の職歴欄には、空白期間について「育児休業取得」と正直に記載しましょう。その上で、育児を通じて培った「複数タスクの同時進行能力」や「予期せぬ事態への柔軟な対応力」などを、具体的なエピソードを交えて自己PRでアピールすることが有効です。
  • 面接では、お子さんの預け先が確保できている状況や、勤務可能な時間帯・曜日といった希望条件を事前に明確に伝え、入社後のミスマッチを防ぐ

3.3.退職後の保育園の内定取消や継続に関する注意点

退職すると、保育園の利用要件である「就労」の事由を満たせなくなります。

多くの自治体では、退職後も保育園を継続利用するために「求職活動」を要件としており、ハローワークの登録証明などを提出する必要があります。

この求職活動期間は自治体によって異なり、一般的に2〜3ヶ月程度です。この期間内に再就職できない場合、退園となる可能性があるため注意が必要です。

例えば、豊岡市では2025年4月から育休中の在園児が退園しなくて済むようルールを緩和しましたがcity.toyooka.lg.jp、これはあくまで育休取得者の話であり、退職者の扱いは異なります。

必ずお住まいの市区町村の保育担当課に、退職後の保育園継続の要件を事前に確認しましょう。

4.スムーズな退職のために 会社への伝え方と手続きのコツ

4.1.育休中に退職を伝えるベストなタイミング

就業規則に定められた予告期間(例:1ヶ月前)を守ることが基本です。

上司への口頭での連絡、退職届の書面提出、人事部との手続きという順序で進めるのが一般的です。

また、ボーナスの支給月に退職の意向を伝えると、査定や支給要件に影響する可能性があるため、会社の支給規程も併せて確認しておくとよいでしょう。

4.2.会社への伝え方と円満退職のポイント

・まずは直属の上司に電話やオンライン面談でアポイントを取り、直接退職の意思と理由を丁寧に説明する

・後任者やチームメンバーが困らないよう、担当業務の進捗状況、主要な連絡先リスト、定例業務のフローなどをまとめた簡易的な引き継ぎ資料を作成しておくと、感謝され円満退職につながります。

・退職理由は「育児と今後のキャリアプランを考えた結果」など、前向きな表現を心がける

4.3.退職時に必要な手続きと書類

書類受取先注意点
退職届会社自筆で署名・捺印し、提出日と退職日を明確に記載します
離職票会社→ハローワーク失業保険の申請に必須です。退職後に会社から交付されます。2025年1月からは、希望すればマイナポータル経由での電子交付も可能になりました。
健康保険資格喪失証明書会社国民健康保険への加入や、家族の扶養に入る際に使用します
年金手帳自己保管国民年金への種別変更手続き(第3号→第1号など)に必要です

5.育休中の退職に関するよくある質問

5.1.育休中に退職する人はどれくらいいる?

厚生労働省が公表した「令和5年度雇用均等基本調査」によると、調査対象期間中に育児休業を終えて復職した人のうち、その後1年以内に離職した女性の割合は6.8%、男性は2.7%でした。

育休取得者の多くは職場に復帰しているものの、一定数がキャリアチェンジを選択している現状がうかがえます。

5.2.育休中に退職を伝えたら会社から引き止められたらどうする?

法律上、労働者には退職の自由が保障されています。

強い引き止めにあった場合は、「家庭の事情により、復職して勤務を継続することが困難な状況です」と、退職の意思が固いことを明確に伝えましょう。

もし会社側から合意退職を提案された場合は、退職金や残っている有給休暇の消化について、後々のトラブルを避けるためにも書面で合意内容を残しておくことが重要です。

6.育休中の退職は慎重に検討しよう

育休中の退職は、給付金、社会保険、保育園、そして今後のキャリアプランの全てに影響を及ぼす大きな決断です。

最新の制度改正によって給付金が日割りで支給されるなど、以前より柔軟な対応が可能になりましたが、育児休業制度が「職場復帰を前提とした制度」であるという本質は変わりません。

退職後の家計を具体的にシミュレーションし、転職市場の情報を集めながら、ご自身と家族にとって後悔のないタイミングと方法を慎重に選択しましょう。もし、個別の状況について専門家のアドバイスが必要だと感じた場合は、専門サービスに問い合わせてみるのも一つの方法です。