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育休取得で企業力UP!中小企業が取るべき生産性向上策とは

「また人手不足か…」「うちの会社で育休なんて無理だ」。
多くの中小企業の経営者や人事担当者が、育休制度の導入・運用に頭を悩ませています。限られた人員、属人化した業務、代替要員の確保の難しさなど、課題は山積みです。大企業との取得率の差は広がる一方で、対応が後手に回っていると感じる方も少なくないでしょう。

しかし、この「育休の壁」は、見方を変えれば企業の成長を加速させる絶好の機会です。育休取得を前提とした業務体制を構築することは、単なる福利厚生の充実にとどまらず、組織全体の生産性向上や業務効率化に直結する「攻めの経営戦略」となり得ます。
本記事では、中小企業が直面する育休取得のリアルな課題を整理し、それを乗り越えることで得られる「従業員の定着率向上」「採用力の強化」「強固な組織文化の醸成」といった具体的なメリットを解説。明日から実践できる具体的な対策や、活用すべき助成金制度まで、成功へのロードマップを網羅的にお伝えします。

1.中小企業における育休取得の現状と課題

1.1.中小企業での育休取得は難しい?実態と背景

厚生労働省が二〇二五年七月に公表した令和六年度雇用均等基本調査速報によると、育児休業取得率には企業規模によって以下の差が見られます。

企業規模男性の取得率女性の取得率
従業員1,000人未満28.4%85.3%
従業員1,000人以上46.2%90.1%

中小企業で取得が進まない背景には、以下の点が挙げられます。

・少人数体制による人員不足
・業務が属人化し担当者不在時の代替が困難
・制度設計や申請実務に関するノウハウの不足
・代替要員確保や引き継ぎに要するコスト懸念

1.2.育休取得は企業の義務!拒否できない法的側面

育児介護休業法では、雇用期間が一年を超える見込みの労働者から申し出があった場合、事業主は原則として育児休業を認めなければなりません。二〇二二年十月の改正により「産後パパ育休」が創設され、申し出時期も柔軟化されました。さらに従業員一千人超企業には男性育休取得率の年次公表が義務づけられ、中小企業に対しても同様の水準を求めるガイドラインが示されています(厚生労働省告示)。(mhlw.go.jp)

2.育休促進が中小企業にもたらすメリットと企業への影響

2.1.従業員の定着率向上と採用力強化

育休制度が整備されている企業は育休復帰後の離職率が一五パーセント低下したとの帝国データバンク二〇二五年調査結果があります(tdb.co.jp)。働きやすさを打ち出すことで求人応募数が増え、採用単価が平均一三パーセント削減できた事例も報告されています。

2.2.生産性向上と企業文化の醸成

育休取得前に業務を棚卸ししマニュアル化する過程は、業務の標準化を進める絶好の機会です。実際に、重複作業の削減やRPA導入が進み、部門当たりの月間残業時間が一九パーセント減少した企業もあります。

さらに、独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によれば、育休取得者がいる職場では、周囲の従業員の多能工化が進み、チーム全体の業務遂行能力が向上する傾向が見られます。取得経験者がロールモデルとなることでチーム間の相互サポート意識が高まり、エンゲージメント調査スコアが向上するなど、組織文化にも良い影響が波及します。

3.中小企業が育休取得を促進するための具体的な対策

3.1.育休制度の整備と社内ルールの明確化

1.就業規則に育休規程を明記し、対象者・手続き・給与補填などを分かりやすく整理する
2.社内ポータルで概要、申請フロー、支援制度を公開し、質問窓口を設置する
3.管理職向けに法改正ポイントと面談手順を研修し、相談しやすい空気を醸成する

3.2.業務体制の見直しと代替要員の確保

・業務プロセスマップを作成し、担当ごとの引き継ぎ手順を標準化する
・社内兼務体制を構築し、ピーク業務は外部パートナーやクラウドソーシングを活用する
・ITツール(SaaS勤怠、タスク管理)を導入し進捗を可視化することで、短時間勤務者でも把握しやすい環境を整備する

3.3.経営層のコミットメントと社内風土の醸成

トップメッセージで「取得率五〇パーセント」を掲げ、役員自らが育休を取得したIT企業では、宣言翌年に男性取得率が三五パーセントから四七パーセントへ上昇しました。経営層が具体的数値目標と行動計画を示すことが鍵となります。

4.中小企業が活用できる育休関連の支援制度と奨励金

4.1.育児休業給付金と社会保険料免除

育児休業給付金は原則として休業開始から半年間は賃金の六七パーセント、その後は五〇パーセントが雇用保険から支給されます。休業中は健康保険と厚生年金保険料が本人・事業主ともに免除されるため、企業負担を大幅に軽減できます。

4.2.企業向けの助成金・奨励金の種類と申請方法

助成金名称最大支給額主な要件
両立支援等助成金 育児休業等支援コース五十七万円(中小企業加算含む)休業取得と職場復帰計画書提出、代替要員確保
両立支援等助成金 出生時両立支援コース二十五万円/人男性労働者が一か月以上の育休を取得
産業雇用安定助成金二〇万円/人代替出向や在籍型出向により雇用維持

各助成金は厚生労働省の電子申請システム「jGrants」で手続きが簡便化されています。

4.3.育休・介護休業支援事業の活用

全国社会保険労務士会連合会が厚労省委託で運営する「育休プランナー派遣事業」では、専門家が無料で社内制度の設計や助成金申請をサポートします。二〇二四年度は全国で延べ一六〇〇社が利用し、利用企業の男性育休取得率は平均三七パーセントに達しました。

5.育休取得を成功させた中小企業の事例

5.1.従業員と企業双方にメリットをもたらした事例

1.兵庫県の金属部品メーカーA社(従業員90名)
・育休前レビューで工程マニュアルを整備し、復帰後に自動化設備を導入。
・生産効率が一二パーセント向上、欠員時も派遣で対応可能に。

2.東京都のSaaS開発企業B社(従業員70名)
・フルリモート勤務とフレックス制を導入し、男性育休取得率が四八パーセントへ。
・採用応募者数が前年比一・八倍となり離職率も九ポイント低下。

3.北海道の乳製品メーカーC社(従業員60名)
・地元短大との連携インターンで代替要員を確保。
・店舗ごとの売上目標をチーム制に変更し、チーム間で支援し合う文化が定着した。

6.中小企業の育休推進は未来への投資

6.1.育休推進で持続可能な企業経営を目指す

少子化が加速する中、優秀な人材確保は企業存続の生命線です。経済産業省が推進する「健康経営」の考え方においても、従業員のワークライフバランス支援は、企業の持続的な成長に不可欠な要素として位置づけられています。
育休を含む両立支援は、従業員ロイヤルティを高めるだけでなく、業務効率化やDX推進の契機となり、企業の競争力を底上げする「人的資本への投資」と言えるでしょう。

6.2.育休中の業務をサポートする外部サービス活用

クラウドBPO、テレワーク派遣、RPA導入支援などの外部サービスを活用すれば、育休中の欠員リスクを抑えつつ専門性の高いリソースを確保できます。
しかし、自社に最適なサービスがどれか判断が難しい、何から相談すれば良いかわからない、といったケースも少なくありません。そのような場合は、企業の状況に合わせた業務サポートの専門家に相談してみるのも一つの手です。

例えば、株式会社ワカルクでは、育休中の業務体制構築に関する無料相談を受け付けており、自社の課題整理から具体的な解決策まで気軽に問い合わせることができます。外部サービスの費用は月額二十万円程度から選択可能で、助成金を併用すれば実質的な企業負担はさらに軽減できます。

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