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専従者とは?定義からメリット・デメリット、手続きまで徹底解説

専従者とは?定義からメリット・デメリット、手続きまで徹底解説

個人事業主として事業を営む中で、配偶者や親族のサポートは欠かせない存在です。しかし、「家族だから」と無給で手伝ってもらったり、曖昧な形でお金を渡したりしていませんか?実はその「家族への給与」を正しく経費化することで、事業主の所得税を大幅に削減できる「専従者給与」という制度があります。この記事では、専従者制度の基本から、節税効果を最大化するための具体的な手続き、注意点までを網羅的に解説。家族の貢献に正当な対価を支払いながら、世帯全体の手取りを増やすための知識を身につけましょう。

1.専従者の基本を理解する

1.1.専従者とは?その定義と役割

専従者とは、個人事業主の営む事業に専ら従事する、生計を同一にする配偶者や親族を指します。大前提として、その事業に従事する時間が、他の仕事に従事する時間よりも明確に長いことが求められます。例えば、週5日・1日8時間を店舗運営に費やし、他の仕事が週に1日程度であれば、専従者とみなされる可能性が高いでしょう。

この制度は、家族経営が多い日本の小規模事業において、家族従業員の「労働の対価」を適正に経費化し、事業と家計の区別を明確にするために設けられています。国税庁は、事業主と生計を一にする親族が事業に専ら従事する場合、その対価を必要経費とすることを認めていますが、これはあくまでも事業上の純粋な労働対価として支払われる場合に限られます。適切に活用すれば、所得分散によって事業主の課税所得を抑えることが可能ですが、要件を満たさない場合は経費として認められず、税務調査で否認されるリスクがあるため注意が必要です。

専従者制度には二つの枠組みがあります。

  • 青色申告者が使える「青色事業専従者給与」
  • 白色申告者が使える「事業専従者控除」

前者は給与全額を必要経費にできる一方、後者は控除額に上限がある点が最大の違いです。

1.2.青色事業専従者と事業専従者の違い

項目青色事業専従者事業専従者(白色申告)
制度の名称青色事業専従者給与事業専従者控除
経費・控除の扱い労務の対価として相当な給与額を全額必要経費に算入可能所得金額から一定額を控除
控除額の上限なし(相当な額であれば)– 配偶者 86万円
– その他親族 50万円
主な要件– 生計を一にする親族
– 15歳以上
– 年間6か月超(または事業期間の1/2超)事業に専従
– 生計を一にする親族
– 15歳以上
– 年間6か月超(または事業期間の1/2超)事業に専従
事前の届出必要
「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出
不要
関連情報詳細はnta.go.jp詳細はnta.go.jp

1.3.専従者になるための条件と要件

専従者として税務上認められるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 年間を通じて6か月を超える期間(または事業に従事できる期間の半分を超える期間)、事業主の仕事に専ら従事している
  • 15歳以上である(その年の12月31日現在)
  • 事業主と生計を同一にしている

兼業の可否もよく問われる点です。重要なのは「事業への従事が主である」と客観的に示せるかどうかです。例えば、週に8時間程度のコンビニエンスストアでのアルバイトであれば、事業への従事が主であると認められる可能性が高いでしょう。しかし、他社で週に3日以上、フルタイムに近い形で勤務している場合は、「専ら従事」の要件を満たさないと判断されるリスクが高まるため注意が必要です。

2.専従者を置くメリットと注意点

2.1.専従者を置く最大のメリットは節税効果

専従者給与を経費化できれば、事業主の所得を家族へ分散させる効果が得られます。例えば、年間売上1,200万円、経費200万円で事業主のみの場合は課税所得が1,000万円ですが、配偶者へ300万円の専従者給与を支払うと、事業主の課税所得は700万円に減少します。

所得税は累進課税(所得が高いほど税率が上がる仕組み)であるため、所得を分散することで大幅な税負担の軽減が期待できるわけです。

また、給与所得者となった配偶者は給与所得控除(最低55万円)を適用できるため、家族トータルでの節税額はさらに拡大します。なお、税制改正によりこの最低控除額は2025年から引き上げられる予定です。節税シミュレーションを行う際は、所得税だけでなく、社会保険料や住民税も含めて総合的に試算することが重要です。

2.2.専従者を置く際のデメリットと注意すべきリスク

  • 給与の適正額を超えると経費否認のリスク

業務内容に見合わない高額な給与は、税務調査で否認される可能性があります。

  • 専従者が扶養控除の対象外になる

専従者として給与を受け取る家族は、配偶者控除や扶養控除の対象から外れます。

  • 社会保険の加入義務が発生する場合がある

事業所の状況によっては、健康保険や厚生年金への加入が必要になります。

社会保険への加入義務も考慮すべき点です。日本年金機構によると、法人事業所または常時5人以上の従業員を使用する個人事業所(農林漁業、サービス業などの一部を除く)は、健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所となります(nenkin.go.jp)。専従者もこの従業員数に含まれるため、加入義務が発生する可能性があることを念頭に置く必要があります。


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3.専従者に関する具体的な手続きと会計処理

3.1.専従者給与の届出と手続きの流れ

青色事業専従者給与を適用するには、主に以下の届出が必要です。

  • 青色申告承認申請書(青色申告を初めて行う年のみ)
  • 青色事業専従者給与に関する届出書

「青色事業専従者給与に関する届出書」は、給与を経費に算入しようとする年の3月15日までに、所轄の税務署へ提出する必要があります。また、その年の1月16日以降に新たに事業を開始した場合や、新たに専従者が加わった場合は、その開始日や加入日から2か月以内が提出期限です(nta.go.jp)。給与額や支給方法を変更する際は「変更届出書」を遅滞なく提出します。

3.2.専従者給与の計算方法と適正額の考え方

税務調査で最も厳しく見られるのが給与の「適正額」です。国税庁も「労務の対価として相当であると認められる金額」としており、客観的な根拠が求められます。

同業種・同地域の求人情報や賃金データを参考に、業務内容、労働時間、責任の度合いなどを総合的に勘案して決定するのが一般的です。

例えば、東京都内の小規模な小売店で経理と接客補助を担当する場合、時給1,300円で週40時間勤務すると年収は約250万円となり、これが一つの目安となり得ます。

給与が過大であれば経費として否認され、過少であれば節税効果が薄れてしまうため、事業の状況に合わせて毎年見直すことが重要です。

3.3.専従者給与の会計処理と仕訳例

給与を支払った際には、次のように仕訳を行います。

  • 借方

専従者給与 200,000円

  • 貸方

現金預金 200,000円

給与額によっては源泉徴収が必要になります。その場合は、源泉所得税を「預り金」勘定で処理し、原則として給与を支払った月の翌月10日までに国に納付します。

4.よくある疑問を解消!専従者Q&A

4.1.専従者に関するよくある質問と回答

  • Q. 年の途中から専従者になった場合、6か月要件はどう計算しますか?

開業日や従事を開始した日からその年の12月31日までの期間の半分を超えて事業に従事していれば、要件を満たします。

  • Q. 扶養控除との併用は可能ですか?

いいえ、できません。国税庁の指針によると、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません(nta.go.jp)。

  • Q. 給与を支払わずに、控除だけ受けることはできますか?

青色申告の場合、給与を実際に支払わなければ経費にすることはできません。白色申告の場合は、実際に給与を支払っていなくても事業専従者控除を適用できます。

5.専従者制度を賢く活用するために

専従者制度は、正しく活用すれば節税効果が高い一方、要件を満たさないと税務調査で否認されるリスクが伴います。届出期限の厳守と、業務実態に見合った給与額の適正な設定を徹底し、毎年の事業計画に組み込みましょう。

社会保険料などのコストと、将来の年金受給額といった老後保障のバランスも考慮しながら、家計と事業の双方にとって最適な形を見つけることが成功の鍵です。

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