
マーケティング事務とは?仕事内容から必要なスキル、未経験からの転職まで徹底解説

「マーケティング」と聞くと華やかな企画や分析を思い浮かべるかもしれませんが、その裏側には膨大なデータ管理や資料作成といった地道な作業が欠かせません。こうしたサポート業務がなければ、どんな優れた戦略も絵に描いた餅で終わってしまいます。そこで重要な役割を果たすのが、マーケターがコア業務に集中できるようチームを支える専門職「マーケティング事務」です。本記事を読めば、その具体的な仕事内容から未経験でも挑戦できるキャリアパス、そして業界の動向から見込まれる将来性までを理解でき、マーケティングの世界で確かな一歩を踏み出すための道筋が見えてくるでしょう。
目次
1.マーケティング事務の全体像を理解する

1.1.マーケティング事務とは?その定義と重要な役割
マーケティング事務は、マーケティング部門の円滑な運営を支える「縁の下の力持ち」です。部門内外の調整役として情報連携を担い、実務では多岐にわたる周辺業務を担当します。主な役割は以下のとおりです。
- データの収集と整形
- 資料作成と配信準備
- 部門内外のスケジュール調整
- 請求書処理や予算管理
こうしたタスクを正確に行うことで、マーケターが分析や戦略立案に集中できる体制を築きます。
1.2.マーケティング職との違いを明確に理解する
マーケティング職は「市場分析→戦略立案→施策実施→効果検証」といったプロセス全体を主導します。アメリカ・マーケティング協会(AMA)は、マーケティングを「顧客、依頼人、パートナー、そして社会全体にとって価値のある提供物を創造し、伝え、届け、交換するための活動、一連の制度、そしてプロセス」と定義しており、その活動は多岐にわたります。一方、マーケティング事務は、このプロセスに付随する事務処理やオペレーションを担い、特に施策を円滑に「伝え、届ける」ための土台を支える役割を担います。両者の違いを以下にまとめます。
項目 | マーケティング事務 | マーケティング職 |
業務範囲 | オペレーション中心 | 企画や意思決定中心 |
必要なスキル | 正確性と調整力 | 分析力と提案力 |
また、マーケティング事務の経験を基に、マーケティングアシスタントを経てマーケターへキャリアアップする例も多くあります。
このように、求められるスキルセットや責任範囲が異なる点を押さえましょう。
2.マーケティング事務の具体的な仕事内容と業務範囲

2.1.日常的な業務内容とサポート範囲
マーケティング事務が日々対応するタスクは多岐にわたり、一般的に以下のような業務が含まれます。
- 広告レポート用のデータ入力や顧客リストの整形(ExcelのVLOOKUPやピボットテーブルを多用)
- PowerPointでの週次パフォーマンスレポート作成
- 広告代理店や制作会社とのメールでのスケジュール調整
- セミナーやウェビナーの申込者管理、資料・備品準備
- 部門予算の進捗確認とシステムへの請求書登録
これらの業務を通じて、KPIの可視化やマーケティング施策の実行スピード向上を支援します。
2.2.どのようなツールやシステムを使うのか
マーケティング事務が扱う主なツールを以下の表にまとめました。
分類 | 代表例 | 用途 |
---|---|---|
表計算 | Excel / Googleスプレッドシート | データ加工、関数・ピボットを用いた集計 |
プレゼン | PowerPoint / Googleスライド | 定例報告資料、提案書 |
CRM | Salesforce / HubSpot | 顧客データ管理、案件ステータス共有 |
MA | SATORI / Marketo / カスタマーリングス | メール配信、リード育成、スコアリング |
タスク共有 | Trello / Backlog / Asana | プロジェクト進行管理 |
BOXILの2025年調査ではMAツールシェアはカスタマーリングス8.48%が最多でSATORI7.84%が続きます(boxil.jp)。
3.マーケティング事務に必要なスキル・資格・経験

3.1.必須となる基本的なスキル
- Excel関数(VLOOKUP, IFなど)やピボットテーブルで大量データを処理する力
- PowerPointでグラフや図解を用いて、読み手を意識した資料を組み立てる構成力
- 社内外の関係者との調整や依頼に必要なビジネスメール・チャット対応力
- KPIを理解し、数字を正しく読み取るデータリテラシー
特にデータリテラシーは、現代のマーケティングにおいて不可欠なスキルです。総務省が公表した『令和5年版 情報通信白書』でも、企業が競争力を維持・強化するためのデータ活用の重要性が示されており(soumu.go.jp)、マーケティング事務はまさにその最前線で正確なデータを提供する重要な役割を担います。
3.2.あると有利な資格や経験
- MOS(Microsoft Office Specialist)
PCスキルの客観的な証明になります。
- 日商簿記検定3級以上
予算管理や費用対効果の理解に役立ちます。
- Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ)、ウェブ解析士
Webサイトのデータ計測に関する知識をアピールできます。
- 営業事務や部署アシスタントの実務経験
調整力やサポート能力の証明になります。
3.3.未経験から始めるためのポイント
未経験の場合は、前職で培ったスキルを具体的にアピールすることが重要です。例えば、「営業事務として、ExcelのVLOOKUP関数とピボットテーブルを駆使し、月間売上データを地域別・商品別に集計して会議資料を毎週作成した経験」や「コールセンターでのお客様対応で培った傾聴力と課題解決能力」のように、具体的なエピソードを交えて職務経歴書に記載しましょう。また、無料のオンライン講座でExcel応用やデジタルマーケティングの基礎を学び、学習内容をまとめた簡易的なレポートをポートフォリオとして応募書類に添付すると、意欲とポテンシャルを効果的に示すことができ、他の候補者との差別化が図れます。
4.未経験からマーケティング事務を目指すには

4.1.未経験でも転職は可能?求人状況と探し方
dodaには「マーケティング・広報アシスタント」関連の求人が多数掲載されており、その中には未経験者を歓迎する求人も多く含まれています。求人を探す際は、以下の点が有効です。
- 「マーケティングアシスタント」「広報アシスタント」「営業企画」をキーワードに設定
- 派遣・紹介予定派遣を含めることで未経験可の求人を見つけやすくする
- ターゲット業界を広告やITだけでなく、メーカーや小売などにも広げて検索
4.2.マーケティング事務の給料・年収の目安
dodaのデータによると、20代・30代の登録者では年収帯「300万〜400万円」が最も多く、求人においてもこの年収帯が中心と考えられます。また、実務経験3年以上の求人では、職種によって年収400万〜450万円の範囲もみられますが、これは個別の求人例であり、リーダークラスへの昇格や特定の年収が目安となるわけではありません。
5.マーケティング事務のやりがい、大変さ、そして将来性

5.1.仕事のやりがいと魅力
- 自分が整理したデータが意思決定に活用され、施策の成果に直接つながる達成感
- マーケティング戦略の最新トレンドや新しいツールに触れられる学習機会
- 部門全体の円滑な進行を支え、チームメンバーから感謝される喜び
5.2.大変な点や課題
- キャンペーンの進捗など、スケジュールの変動に合わせた突発的な対応が多い
- データ入力や定型レポート作成など、単純作業がルーティン化しやすい側面もある
- 企画担当者とデザイナーなど、クリエイティブ領域との連携で板挟みになるなど調整負荷がかかることがある
5.3.マーケティング事務に向いている人の特徴
- 数字やデータを扱うことに抵抗がなく、細かいチェック作業が苦にならない
- 複数のタスクを並行して進めるため、整理して優先順位を付けられる
- 細やかな気配りと丁寧なコミュニケーションで、周囲を巻き込みサポートできる
5.4.キャリアパスと将来性
マーケティング事務で得たデータ整備力とプロジェクト推進力は、多様なキャリアパスにつながります。
- マーケティングアシスタント→Webマーケター、SNS担当者
- 広報アシスタント→PR担当、イベントプランナー
- CRMオペレーター→カスタマーサクセス、インサイドセールス
など、より専門性の高い職種へ発展させることが可能です。
Indeed Hiring Labが発表した直近のレポートによると、マーケティング職種の求人賃金は上昇傾向にあり、需要は堅調です。
マーケティングのデジタル化が進む中、データとツールを理解する事務人材の重要度は各社で高まっています。株式会社電通が発表した「2023年 日本の広告費」によると、インターネット広告費は総広告費の45.5%を占め、成長を続けています。このデジタルシフトの加速に伴い、データ集計やツール運用をサポートする人材の需要はますます高まるでしょう。早期に基礎スキルを固め、プロジェクト運営やデータ活用の実績を積み重ねれば、市場価値を長期的に高めることができる専門職です。
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