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育児休業給付金が「遅すぎる」と感じるあなたへ 初回支給の目安と早くもらうための全知識

育児休業給付金が「遅すぎる」と感じるあなたへ 初回支給の目安と早くもらうための全知識

待ちに待った育児休業。しかし、頼りにしていた育児休業給付金が「思ったより振り込まれない」と感じる方は少なくありません。

それもそのはずで、初回支給は育休開始から早くても3ヶ月程度、出産日から数えると4〜5ヶ月後になるのが一般的です。このタイムラグは、精神的な負担だけでなく、家計にも直接的な影響を及ぼしかねません。

この記事では、なぜ給付金の初回支給に時間がかかるのか、その制度上の理由から、支給までの期間を少しでも短縮するための手続きのコツ、そして支給遅延に備えるための生活防衛策まで、専門家の視点から徹底的に解説します。読み終える頃には、給付金に関する漠然とした不安は解消され、安心して赤ちゃんと向き合うための確かな資金計画を立てられるようになっているはずです。

1.育児休業給付金の基本を知ろう

1.1.育児休業給付金とは 制度の概要と対象者

育児休業給付金は雇用保険法に基づく所得補償制度で、一定の要件を満たす労働者なら性別を問わず受給できます。正社員だけでなく、パートタイム労働者でも週20時間以上の勤務で雇用保険に加入していれば対象となるため、多くの家庭が利用可能です。原則として子が1歳になる誕生日の前日まで支給され、厚生労働省が定める「保育所等に入所できない」などのやむを得ない事情が認められれば、最長で子が2歳になるまで延長が可能です。

1.2.育児休業給付金の計算方法と支給額の目安

給付額は、休業開始前の6ヶ月間の賃金を基に算出される「休業開始時賃金日額」と支給日数を掛け合わせた金額に、所定の給付率を乗じて計算します。育休開始から180日間は給付率67%、それ以降は50%が支給基準です。たとえば平均賃金が月20万円の場合、最初の半年は約13.4万円、以降は10万円が支給額の目安となります。なお、支給額には上限があり、この上限額は毎年8月1日に、前年度の平均給与額の変動に応じて見直されます。

2.育児休業給付金、初回支給はいつ?遅延の理由と実際の支給日

2.1.育児休業給付金の初回支給はいつ? 一般的な目安期間

初回支給は育休開始から2~3ヶ月後が目安です。ただし、会社の申請タイミングによっては遅れることがあります。事業主がハローワークへ申請できるのは育休開始から2ヶ月経過後で、提出期限も育休開始から4ヶ月後までと幅があるためです。会社が迅速に手続きすれば2ヶ月程度で振り込まれますが、期限間際だとさらに時間がかかります。

2.2.なぜ初回支給は遅いのか? 主な理由と手続きの流れ

遅延の主な要因は3つ考えられます。第一に、会社内の手続きが煩雑で、人事担当者が他の業務に追われて申請が後回しにされがちな点。

第二に、賃金締め日との関係で、育休開始前6か月分の賃金が確定するのを待つ必要がある点。

第三に、ハローワーク(公共職業安定所)では、原則として申請書を受理してから2週間から4週間程度で支給決定通知書が発送され、その後約1週間で振込が行われますが、提出された書類に不備があれば差し戻しとなり、再提出のタイムロスが発生する点です。

2.3.三か月経っても振り込まれない時に確認すべきポイント

  • 会社が申請書類をいつハローワークに提出したか、人事担当者に確認する
  • 申請書に記入した自分自身の口座情報(金融機関名、支店名、口座番号)に誤りがないか再確認する
  • 雇用保険被保険者番号など、個人情報に誤記がなかったかを確認する
  • ハローワークに直接問い合わせる際は、会社の所在地を管轄するハローワークに連絡し、申請日と会社名を伝えると状況が早く把握できます

2.4.育休延長時の給付金はどうなる 遅延との関係

厚生労働省の通達により、2025年4月から育休延長の審査が厳格化されました。保育所への申し込みが、単なる延長目的ではなく「速やかな職場復帰」の意思に基づいているかが重視されます。例えば、合理的理由なく自宅から著しく遠い保育園のみに申し込むといったケースは、延長が認められない可能性があります。これは、育児休業給付が本来、労働者の早期の職場復帰を支援するための制度であるという趣旨を明確にするための措置です。延長手続きが滞ると、その後の給付も止まってしまうため、必要書類を早めに揃え、お住まいの自治体の受付開始日に合わせて申し込むことが遅延防止につながります。

3.支給を早める・遅延を防ぐための対策

3.1.初回支給を早めるための具体的な申請方法とコツ

  • 育休開始前に会社の人事部と申請スケジュールを共有し、賃金確定後すぐに手続きに着手してもらうよう依頼する
  • 「休業開始時賃金月額証明書」や本人名義口座の通帳の写しなど、必要書類を事前に完璧な状態で提出し、書類不備を防ぐ
  • 産休から育休へスムーズに移行できるよう、賃金締め日と育休開始日の関係を事前に確認しておく
  • 状況を可視化するため、人事担当者と共有のタスク管理ツール(Googleスプレッドシートなど)を作成し、提出予定日と実際の提出日を記録する

3.2.書類不備を防ぐ 提出書類チェックリスト

書類名よくある不備確認方法
育児休業給付金支給申請書記入漏れ・押印忘れ、個人番号(マイナンバー)の記載ミス記入後に配偶者など第三者にダブルチェックを依頼する
休業開始時賃金月額証明書賃金計算期間の誤り、算定基礎となる賃金の集計ミス会社の給与明細と照合し、休業開始前6か月分の範囲が正しいか確認
母子健康手帳の写し出生届出済証明のページの写りが不鮮明スマートフォンで撮影後に拡大表示し、文字が明確に読めるか確認
申請者本人名義通帳またはキャッシュカードの写し口座番号や名義人のフリガナが不鮮明、または写りの範囲から切れているコピーや撮影の前に、該当箇所が鮮明に写るか確認する

提出前にチェックリストを活用し、応募書類を十分に確認することは、人事担当者からの差し戻しリスクを大幅に減らす上で非常に有効です。

4.遅延時の不安を解消 生活費の対策

4.1.育児休業給付金が遅れた場合の生活費対策

  • 固定費の削減

スマートフォンの料金プランや生命保険の内容を見直し、月数千円から1万円程度の節約を目指す

  • 支払い猶予制度の活用

電気・ガス・水道などの公共料金には、支払いが困難な場合に相談できる猶予制度があります

  • 不用品の現金化

フリマアプリでサイズアウトしたベビー服や使わなくなったベビーカーなどを販売して、当座の資金を確保する

  • 支出の可視化

家計簿アプリで支出を記録し、つい増えがちな外食やコンビニでの間食といった変動費を3割削減するなど、具体的な目標を立てる

4.2.つなぎ資金の確保方法と利用できる制度

  • 会社の貸付制度

福利厚生の一環として、無利子または低利子(年1%~4%程度)の従業員貸付制度がないか確認しましょう。ただし、制度の有無や利用条件は企業により異なります。

  • 社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度

お住まいの市区町村の社会福祉協議会では、低所得世帯などを対象に「生活福祉資金貸付制度(緊急小口資金など)」を設けている場合があります。なお、新型コロナウイルス関連の特例貸付は2022年9月末で受付を終了していますが、通常の制度は現在も利用可能です。

  • 銀行のカードローン

即時性が高いですが、金利が高め(年1.5%~14.5%前後が一般的)なため、返済計画を明確にしてから最小限の利用に留めましょう。

  • 親族からの借入

利息負担がない場合が多いですが、贈与税の問題や後のトラブルを避けるためにも、必ず借用書を作成し返済計画を共有しておくことが賢明です。

5.まとめ 育児休業給付金だけに頼らない計画的な準備を

5.1.育児休業給付金だけに頼らない 計画的な準備の重要性

育児休業給付金は休業前の収入の50%〜67%を補う制度であり、満額受給できたとしても、社会保険料の免除を考慮してもなお家計が赤字になる家庭は少なくありません。金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査」(令和4年)によると、二人以上世帯のうち22.1%が金融資産を保有していないと回答しており (shiruporuto.jp)、収入減に備えることの重要性がうかがえます。育休取得を決めた時点で、最低でも半年分の生活費を貯蓄口座に移し替えるなど、計画的な資金準備を進めておくと安心です。

5.2.関連情報

  • 育児休業中の社会保険料(健康保険・厚生年金保険)は、事業主が年金事務所に申し出ることで、被保険者・事業主ともに免除されます。
  • 2022年10月から始まった「産後パパ育休(出生時育児休業)」と通常の育休を組み合わせることで、父親は子が1歳2か月に達するまで柔軟に休業を取得できます。
  • 双子など、二人以上の子を同時に養育するために育児休業を取得する場合、給付金は休業1回分として支給され、子の人数に応じて倍増するわけではありません。ただし、支給額には上限があるため、家計シミュレーションを早めに行うことをお勧めします。

育児休業給付金の初回振込はどうしても時間がかかりやすいものですが、会社との事前の連携と正確な書類準備を徹底すれば、支給までの期間を短縮することも可能です。制度の仕組みを正しく理解し、万一の遅延にも対応できる資金計画を整えておくことで、安心して新しい家族との時間に集中できるでしょう。

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